グローバリズムが社会にもたらした影響とは

グローバリズムとは、経済・文化・技術などあらゆる分野における世界の統一化を目指す理念や思想を意味します。主な特徴として、国際貿易や企業の多国籍化といった経済の統合、メディア・インターネットを通じた技術や文化の共有、国際機関や条約のような政治的な連携などがあげられます。国際的な協力による技術革新や異文化理解、消費行動の多様化が広がるなど、多くのメリットがあるのです。

グローバリズムの恩恵は、わたしたちも少なからず享受しています。たとえば、プライベートでもビジネスの場面でも使われている「iPhone」や「iPad」は、アメリカの「Apple社」で開発されたもの。グローバリズムの影響で国際貿易が活発になり、日本にapple社が進出した結果といえるでしょう。今の便利な生活があることも、グローバリズムがあってこそといえるかもしれません。

グローバリズム批判の「反グローバリズム」も

一方、グローバリズムを批判する「反グローバリズム」という思想も、知っておきたい側面です。多国籍企業により発展途上国の搾取や、環境破壊・気候変動への影響、伝統文化の焼失などが懸念されていることが、理由のひとつとしてあげられます。たとえばバングラデシュで起こった、有名ファッションブランドの縫製工場が入ったビルが倒壊した「ラナプラザの悲劇」は、発展途上国の搾取における最もたる例かもしれません。このような出来事には「グローバリズム」が影響しているため、問題視されることになったのでしょう。

先進国では、反グローバリズムの具体的な動きがみられています。たとえば、イギリスのEU離脱やアメリカの保護貿易の強化などです。グローバリズムの象徴ともいえるEUからの離脱は、イギリス社会にも大きな打撃を与えています。しかしEU離脱が実現したのは、移民問題や自国の決定権の弱体など、懸念点があったからといえるでしょう。それほどに、グローバリズムに絡む問題は複雑です。

2015年に採択された「SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)」は、グローバリズムによって生じる社会のひずみを解消へ導く、有効な取り組みともいえます。個々人がグローバリズムについて認識をもち、よい面と悪い面を深く理解する必要がある時代ではないでしょうか。個人が日本と世界情勢に対して問題意識を持てる世の中であれば、グローバリズムから発生する社会問題の解決につながる糸口が見つかるかもしれません。