ダークヒーローとは?

ダークヒーローとは、伝統的なヒーロー像からは逸脱した、非道な手段をいとわなかったり、復讐に身を投じていたりなど、複雑な主人公(ヒーロー)を指します。

「正しさ」を説くようなイメージの強い主人公ですが、ダークヒーローの場合、自分の目的を果たすため、時には残酷な手段や反社会的な行動を取ることが特徴です。

過去のトラウマや裏切りなどの経験を持ち、苦痛・怒りが思想や行動の動機となっている場合も多いです。

彼らの複雑なバックストーリーから生まれる思想や行動は、正しさだけでは得られない共感・気づきがあり、多くの人を魅了しています。

 

ダークヒーローが魅力的なアニメ

コードギアス 反逆のルルーシュ

©SUNRISE/PROJECT GEASS Character Design ©2006 CLAMP・ST

2006年に制作されたアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』は、超大国「神聖ブリタニア帝国」に反逆する少年の壮絶な運命を描いた物語。

主人公はブリタニア人の少年ルルーシュ・ランペルージです。本名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアにして、神聖ブリタニア帝国元第11皇子。

普通の学生生活を送っていたルルーシュは、あるとき謎の少女C.C.(シーツー)に出会い、他人に命令を強制できる特殊能力「ギアス」を授けられます。

ルルーシュはギアスを利用し、仮面の男「ゼロ」を名乗り、「黒の騎士団」を率いて祖国ブリタニアへの壊滅を企てるのです。

かつては心優しい少年だったルルーシュですが、母親を目の前で殺害され、最愛の妹・ナナリーと共に送られた日本でブリタニア軍の戦火に巻き込まれたことから、祖国に恨みを持っています。

性格は合理的で冷淡、そして過去のトラウマから人間不信ですが、妹のナナリーだけは特別なようで、彼女に溺愛しています。

そして彼の反逆の根底にあるものは、ナナリーが望む「他人に優しくなれる世界」でした。この実現のため自分を含め多くを犠牲を出すこととなります。

愛ゆえにダークヒーローになった主人公といえるでしょう。

ファンの印象は?
  • 妹想いな優しさと、敵をあざ笑ったり平気で味方を捨て駒にしたりする「ゼロ」の二面性が好き
  • この作品の魅力はほとんど主人公のルルーシュにある!

 

亜人

(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

『亜人』は、桜井画門によるマンガが原作で、2016年にTVアニメが放送されています。

舞台は現代日本で、決して死なない新人類「亜人」が政府に追われ、亜人の少年が様々な困難へ立ち向かう物語です。

普通の高校生活を送っていた主人公・永井圭は、ある日交通事故で死亡した直後に生き返ったことで亜人であることが発覚し、賞金目当ての国民や政府に追われる身となります。

地頭のよさで様々な困難を切り抜けながら、最終的に亜人の存在や権利を認めさせようと人間の大量虐殺を計画する亜人・佐藤を止めるべく、他の亜人や組織と協力して追い詰めていきます。

永井は頭の回転が速く合理的ですが、友達であろうと自身に不要なものは切り捨てる冷淡さから、妹から「クズ」と軽蔑されるキャラです。

しかし、実は妹の病気を治すために医者を目指していたり、亜人の実験施設から脱走するときに自分を逃がした施設の職員を助けたりなど、時折見える人間らしさも魅力的です。

ファンの印象は?
  • 合理主義的で利己的かつ知的なタイプの主人公がよく描けてて好き
  • クズなのに完全に合理的にはなりきれてないところが好き

 

DEATH NOTE

『DEATH NOTE』は原作・大場つぐみ氏、作画・小畑健氏による日本の漫画作品、及びそれを原作とした映画、アニメ、小説、ミュージカル、ドラマなどのメディアミックス作品です。

本作は、名前を書いた人間を殺すことができる『デスノート』を拾った高校生・夜神月(やがみらいと)が、犯罪が横行する世界を変えるため、犯罪者の名前を書いて次々と殺人を行っていく物語。

やがて世間から「キラ事件」として扱われ始め、キラ事件を止めるべく動き出した世界最高の探偵『L』との、熾烈な頭脳戦が繰り広げられます。

主人公の夜神月は文武両道のエリート高校生で、元々は世の中の理不尽さが許せない、正義感の強い性格。

純粋であるがゆえに過激な思想を持ち、エスカレートして世界規模の大事件を引き起こすこととなるのです。

そして完璧な人生を歩んできたがために、理想の為には妥協を許さない性格も相まって、自分の計画を邪魔する者を排除するなど非道的な一面も見せるようになります。

最終的には犯罪者の撲滅・善人の救済を実現した、純粋な善人だけでできた「新世界」を創造し、自身が「神」となる野望を抱くように。

緻密な頭脳戦・心理戦にも驚かされますが、純粋な者が己のなかの絶対的な正義を信じ、悪に手を染めていく過程も見どころです。

ファンの印象は?
  • 頭脳明晰なのに煽り耐性がない夜神月が可愛い!
  • 内心クソゲスなのに完璧すぎる男だから誰から見ても完璧で良い奴なのすごい

 

HELLSING

「HELLSING OVA I~V Blu-ray BOX」(C)平野耕太・少年画報社/WILD GEESE

『HELLSING』は20世紀末の英国を舞台とした、平野耕太氏によるバトルアクションマンガが原作です。

英国国教騎士団(HELLSING機関)に所属する吸血鬼アーカードが、英国に敵対する超人・化物を相手に、人知を越えたアクションを繰り広げる様子が描かれます。

イギリスの鬼札ともされる主人公・アーカードは、圧倒的な強さで「最強のアンデッド」、「不死者(ノスフェラトー)」、「死なずの君(ノーライフキング)」などの異名を持っています。

主人公らしからぬ狂気じみた言動も多く、戦いや殺し合いにも喜ぶ様子も。

最強の吸血鬼が人間のしもべとなって強敵を圧倒していくのは、斬新な設定でありながら安心感があります。

そのド派手でチート級の戦闘力からは、読者から「主人公なのにラスボス」とも言われているのです。

ファンの印象は?
  • アーカードは色気の権化
  • 正義の味方ではない狂気と凶暴性があって、それでいて主に忠実なのがいい

 

ベルセルク

(c)三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/ベルセルク製作委員会

『ベルセルク』は、三浦建太郎氏によるダークファンタジー漫画が原作です。1997年10月テレビアニメ化され、2012年12月劇場版アニメ映画化。2022年10月アニメ化第2作『ベルセルク 黄金時代篇』が放映されています。

主人公のガッツは、身の丈を越す巨大な剣を背負い「黒い剣士」の異名を持つ男性。表情は暗く傷だらけで、見た目からダークヒーローと呼ぶに相応な雰囲気を醸しています。

ガッツは首に刻まれた烙印によって異形の化け物に命を狙われ続けながら、超越者・ゴッドハンドや使徒へ復讐の旅を続けています。

狂戦士のごとく戦いを繰り広げるために粗暴な印象を受けますが、その根底には大切な者たちを奪われた過去の憎悪があるのです。

不遇な生い立ちや親友の裏切りの経験など、ガッツの過酷すぎる人生に驚かされますが、心身ともにボロボロになりながらも強く生き戦い続ける彼には、深い魅力があります。

ファンの印象は?
  • 並の人間なら精神が崩壊しているところ、ただ力が強いだけじゃないのがガッツの魅力
  • ぶっきらぼうで口下手だけど誰より仲間思い

 

ダークヒーローの魅力まとめ

ダークヒーローは、単なる「正義」のあり方や「善悪」の枠を超え、人間の持つ複雑さや危うさ、心理を深い部分まで映したキャラクターが多く、独特の魅力を放つ存在です。

一件冷酷だったり狂気じみていたりする彼らも、時折見せる愛情や人間味ある行動で思わずハマってしまう人もいるはず。

紹介した作品を観るほど、ダークヒーローの虜になってしまうかもしれません!