育成就労制度とは?概要や対象分野

「育成就労制度」とは、令和9年(2027年)4月1日よりスタートする、外国人材の受け入れ制度です。現行の受け入れ制度「技能実習制度」を抜本的に見直し、日本の人手不足分野における育成・確保を目的としています。

厚生労働省は、育成就労産業分野において、日本で3年間の就労を通じて特定技能1号水準(技能検定試験3級や特定技能1号評価試験+日本語能力A2相当以上の試験(JLPTのN4等))に値する人材を育成するとともに、当該分野における人材確保を目指すこととしています。

(参照元:厚生労働省 育成就労制度の概要

育成就労制度への移行にともない、技能実習制度は2030年までには実質的に廃止される予定です。外国人材の受け入れ体制の運用の要領も変更点が発生するため、企業の採用担当者や人事担当者の方にとって、押さえておくべき制度といえるでしょう。

 

育成就労制度の対象となる「育成就労産業分野」

育成就労制度の受入れ分野である育成就労産業分野は、以下の17分野です。

◇育成就労産業分野

  • 建設
  • 工業製品製造業
  • 木材産業
  • 鉄道
  • 林業飲食料品製造業
  • 介護
  • 農業
  • 漁業造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • ビルクリーニング
  • 物流倉庫
  • 外食業
  • 宿泊
  • 資源循環
  • リネンサプライ

 

(参照元:出入国在留管理庁

技能実習制度において、特定技能外国人の受け入れを行う「特定産業分野」とほとんど同じですが、「自動車運送業」と「航空」は、育成就労産業分野から除かれています。

 

技能実習制度との違いは?主な変更点

技能実習制度は、開発途上国等の外国人を日本で一定期間受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度で「国際貢献」が目的です。人材不足分野での安定した「人材確保」をを目指す育成就労制度とは、その目的に大きな違いがあります。ここでは、育成就労制度への以降による主な変更点を挙げていきます。

 

キャリアステップの明確化

育成就労制度では、3年間の育成就労期間を経て在留期間が通算5年間以内の特定技能1号、在留期間の更新に制限のない特定技能2号へと推移していきます。それぞれの段階で、求められる日本語能力が変わります。

 

育成就労期間  

3年間

(育成就労を経ず外国で試験を受験し、特定技能1号で入国もできる)

特定技能1号  

5年間

(特定技能1号の試験不合格者には再受験のため最長1年の在留継続が可能)

特定技能2号  

制限なし

 

 

(引用元:厚生労働省 改正法の概要(育成就労制度の創設等)

転籍の制限緩和

育成就労制度では、転籍(いわゆる転職)の制限が緩和されました。技能実習制度で定められている「やむを得ない事情がある場合」に加えて、一定の条件を満たす場合に同一業務区分内での本人意向による転籍が認められます。

◇「やむを得ない事情」に該当する例

・実習実施者の経営上・事業上の都合

・実習認定の取消し

・実習実施者における労使間の諸問題

・実習実施者における暴行等の人権侵害行為や対人関係の諸問題

・重大悪質な法令違反行為があった場合

・重大悪質な契約違反行為があった場合

 

(引用元:技能実習制度における「やむを得ない事情」がある場合の転籍の運用改善について

 

◇育成就労制度で認められる一定の要件

・ 同一機関での就労が1年を超えている

・ 技能検定試験基礎級等及び一定水準以上の日本語能力に係る試験(日本語能力A1相当以上)への合格

・ 転籍先が、適切と認められる一定の要件を満たす同一業務区分

 

(引用元:厚生労働省 改正法の概要(育成就労制度の創設等)

 

日本語能力の要件化

育成就労制度の移行後に受け入れる外国人には、それぞれの技能レベルの段階において、必要な日本語能力が定められています。

 

就労開始前  

A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格又は相当講習受講

 

特定技能1号移行時  

2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)合格

 ※当分の間は相当講習受講も可

特定技能2号移行時  

B1相当以上の試験(日本語能力試験N3等)合格

※各分野でより高い水準の試験の合格を要件として設けることもできる

 

(引用元:育成就労制度の概要

 

監理団体・受け入れ企業の要件厳格化

育成就労制度の施行にあたり、技能実習機構の監督指導・支援保護機能や労働基準監督署・地方出入国在留管理局との連携等が強化されます。また、特定技能外国人への相談援助業務が追加されるなど、支援が充実します。

育成就労外国人の受入れに関する監理・支援を行う監理団体には、中立性・独立性の確保や外部監査の設置などが義務付けられます。

受け入れ企業においては、職員の配置、財政基盤、相談対応体制等の許可要件が厳格化。受入れ機関ごとの受入れ人数枠を含む育成・支援体制適正化、分野別協議会加入等の要件の設定があります。

(引用元:厚生労働省 改正法の概要(育成就労制度の創設等)

 

育成就労制度を理解して制度の開始に備えましょう

2027年4月に始まる育成就労制度は、国際貢献を目的とする技能実習制度と異なり、外国人材の安定した確保を目指します。キャリアステップや転籍、日本語能力の要件化など各方面で変更点があるため、外国人材の受け入れ企業の方々は、把握しておく必要があります。制度の概要を理解し、現行の技能実習制度から実務上でどのような違いが発生するか、事前に押さえておくと安心です。